読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

7日

仕事

母のことを考える日だった。

母は毎日ゴールドの華奢なチェーンの一粒のダイヤがついたネックレスをしていた。わたしが6つのときにはすでに癌だった。ネックレスには片方しかない乳房の思い出しかない。

ここ数年、一粒の石の華奢なネックレスを探している。けれどない。それは思い出の中なので。わたしは、家族が母の思い出を美化するのが嫌いだ。でもいちばん美化しているのはわたしだとも思う。

今日、祖母宅で母を含む三姉妹が使っていた、それぞれに花の柄が入った揃いのマグカップを、母の分を譲ると言われた。わたしはそれを割りたい気持ちになった。

遺品を使うように言われるのがすごく気持ち悪い。全て燃やしたい。真珠のネックレスもちぎって海に返したい。

深夜に少しだけ遺品を見た。両親に甘く楽しい幸せな時間があったことが確かにそこにあった。燃やせばいいのに。そんなこと。

母は愚かだった。家族の為に癌を治したい一心で言われるがまま投薬を続け、癌はひとつもなくなった。けれど薬のせいで身体は壊れてしまい、息ができないまま死んでいった。

悲しさは闇でしかないのか。この、いまこの気持ちで綴る文章は救いなのだ。

明るく日の当たる場所にあるべき健やかさを取り戻す為に。

家の前で泣く機会を逃してしまったので、わたしの悲しみを代表するわたしは、こうしてインターネットの底で悲しいと言うしかない。

母を知る人は皆わたしのことを可哀想だと言う。不幸な人生とか。あなたたちにはわたしの笑顔は届かないのだろうか?

愛してくれてありがとう。